保証人が夜逃げして一千万円の借金を背負った父。でもそれで父は終わらなかった。

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突然一千万円もの負債

子ども時代は、とにかくいろんなことを我慢していた記憶ばかりです。私が幼稚園に入ったころ、父が借金の保証人になっていた人が夜逃げし、突然一千万円もの負債を背負わされました。それまで家族4人で住んでいた家を売り、父方の祖父母の家にやっかいになりました。しかしそれだけでは返済できず、複数の飲食店を経営していた父は働きづめに働きました。

小学年の時、父が突然倒れました。心臓病で、もうだめかもしれないと大人たちは話していました。ところが神がかり的なタイミングでその道の権威の先生に手術してもらうことができ、一命をとりとめました。しかし入院が続き他人の借金返済どころか、今度は医療費のために自ら借金を重ねることになりました。これから学費のかかる娘二人を抱えて、絶望的な気持ちだったと言います。死んで保険金がおりたほうが良かったんじゃないかと何度も思ったそうです。

父と母が離婚

翌年父は退院し少しずつ仕事に戻り始めましたが、数年後またも倒れて緊急手術を繰り返します。経営していた飲食店をついに手放し、そのころ母と離婚しました。私が中学に上がったとき、父が転職しある代理店を立ち上げました。最初はなかなかうまくいかず、歩合制の収入はごく僅かでした。このあたりから子どもなりに、自分には何ができるかを考え始めました。

今すぐお金を稼ぎたくても中学生にはアルバイトができません。もっと長い目で見てお金を稼げる人間になるルートを作ろう、と思いました。塾に通う友達を横目に一人独学で勉強し、のちの履歴書上の信用を得るために県内トップの高校に行きました。

高校時代は何度も授業料を滞納し、クラスのみんなの前で督促状が渡されました。先生は無言で渡すのですが、クラス中の誰もがその紙が何かを知っていました。そして大学受験のとき、父はまたも入院中だったので、授業料免除になりやすい国立大学に進みました。

大学の4年間一度も仕送りを受けず、授業料は免除、家賃は奨学金、生活費はアルバイトの掛け持ちでまかないました。社会人になったころ、父がやたら海外旅行に行くようになりました。驚いて聞くと、会社に表彰されてのご褒美の旅行なのだそうです。つまりそれだけ父は仕事を頑張ってきたのでした。

数千万円に膨らんだ借金を

一番お金がかかる時期に何もしてやれなかったと父は言います。でも数千万円に膨らんだ借金を、父はしっかり完済したのです。父自身の働きぶりはもちろん、若い頃はずっと他人の面倒をよく見ていた性格が幸いして、多くの方々にビジネスを成功に導いてもらったそうです。

そして昨年などは、「過去最高の納税額を記録しちゃった」と笑っていました。だから私にとっては、世界で一番偉大な尊敬すべき父です。理不尽にどん底に突き落とされても、何度倒れても、30年かけて復活したのですから。

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